オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
そ、そうだよ。まずは聖菜を探さなきゃ。

龍也さんに事情を話す玲悟くんの声は、微か

に震えている。

「とにかく手分けして探そう。」

焦る私たちに冷静に指示をくれる龍也さん。

いち早く走り出した玲悟くんを見送ってから

私も走り出そうとしたとき。

「ももちゃんは先生のところに知らせに行っ

て。できるだけ人が多いところを通って。」

私をまっすぐ捕らえる龍也さんの目は心配か

らなのか揺れている。

「わかりました。私は大丈夫です。」

龍也さんを安心させるように、できるだけ力

強く答えて、職員室に向かった。

友達のいない教室で初めて声をかけてくれた

のは聖菜だ。玲悟くんと仲良くなれたのも、

聖菜のおかげ。文化祭で友達がたくさんでき

たのも聖菜おかげ。

そして、蓮人さんへの気持ちに気付いたのも

聖菜のおかげ。

小さくて、天然で、寂しがり屋な聖菜だから

きっと怖くて震えているに違いない。

私が絶対見つける。

私たちが絶対見つける。
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