オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~

抑えられない想い ~玲悟side~

オレが聖菜と初めて会ったのは、幼稚園の年

長の頃。

人見知りで友達がなかなかできなかったオレ

は、いつもひとりで本を読んでいた。

「それ聖菜も好き!」

後ろから降りかかった声は元気いっぱいの高

い声。

友達のいないオレはなんて返せばいいかわか

らず、言葉に詰まっていると。

「水上聖菜だよ?あなたのお名前は?」

「ま、松井玲悟…。」

本当は話しかけてもらえたのが、すごい嬉し

かった。だけど、緊張で上手く話せなくて。

オレ、やっぱりこのままじゃ友達出来ないよ

なー。なんて考えていると。

「じゃあ玲くんだね!」

「え?」

態度の悪いオレの返事は全く気にしていない

ようで、当たり前のようにオレの隣に座る。

「お友達になろ?」

きっとこの瞬間から聖菜を好きになる運命だ

ったんだろうな。

聖菜は可愛くて、明るくて、前向きで。

いつも周りを照らしてくれる太陽みたいな女

の子だった。聖菜と一緒にいる時間が増える

度に、オレの周りも友達で溢れるようになっ

た。

オレは今日、この初恋に決着をつけると決め

た。

龍也さんのももに対する真っ直ぐな気持ちと

ももの蓮人さんに対する真っ直ぐな気持ちを

知ったから。

何もしなければきっと、聖菜は変わらずオレ

の隣で笑ってくれるんだろう。

だけど、何もしないでほかの男に取られるの

だけはごめんだ。
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