オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
蓮人さんが次々と倒していき、私と聖菜と玲

悟くんは急いで校舎に走り出した。けど…。

「大人を甘く見ちゃいけないよ?」

ふわっとした声が耳元で聞こえたかと思うと

目の前に鋭く尖ったナイフがギラリと光っ

た。

嘘…。助けて…蓮人さん…。

恐怖のせいで喉が絞まって声が出ない。

頭が真っ白になって意識を手放しかけたと

き、私を拘束する腕が緩まり、あっという間

に地面に情けなく転がっていた。

「ももっ!」

全身の力が抜けて倒れそうになった私を抱き

とめてくれたのは。

「蓮人さん…。」

蓮人さんの温もり。蓮人さんの声。蓮人さん

の匂い。蓮人さんの鼓動。

全部全部、愛しい。これが好きって気持ちな

んだ。

「お前ほんと、襲われる才能ありすぎ。」

いつもの調子で話しているけど、蓮人さんの

瞳には熱が帯びていた。

「初めて会った日と、同じですね。」

蓮人さんと初めて会った日も、こんな風に助

けてくれた。

「もも…。」

優しく囁いた蓮人さんのたくましい手が頬に

添えられて、親指が眼尻にたまる涙を拭っ

た。

私は今、なんで泣いているんだろう。

怖かったから?蓮人さんが助けに来てくれた

から?

違う。

きっと、蓮人さんの温もりがあまりにもあっ

たかいから。

「どうして、ここにいるんですか?」

だって私のこと、好きじゃないって言ってた

のに。
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