オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
「オレと付き合ってください。」

微かに震える蓮人さんの指先にそっと手を伸

ばし、ぎゅっと握る。

「はい…。」

微笑み合う私たちを照らすオレンジ色の夕陽

は、まるで祝福しているかのようだ。

それからしばらくして、私たちは校舎に戻り

教室に向かって歩いていた。

「蓮人さん、まだ私のクラス来てないですよ

ね?」

「まぁな。ももを探してたけど、さすがに教

室まではわからなかったから。」

私を探している途中で、聖菜がいなくなった

ことに気付き、一緒に探してくれたそう。

「私が作ったケーキ、食べてくれますか?」

龍也さんが一緒に考えてくれたケーキ。

蓮人さんに食べてほしいと思って作ったケー

キ。

「ももが作ったケーキ?」

「クラスの出し物でケーキ作ったんです!」

私の言葉を聞くと、少し拗ねた顔をした蓮人

さんが手をぎゅっと握って。

「ももの手作り、オレ以外の奴も食べてんの

な。」

え…?やきもち…?

蓮人さんでも、やきもち妬くんだ…って思う

となんだか可愛くて。

繋がれた手を握り返して。

「これからは蓮人さんだけに作りますよ?」

こんな言葉、自分が言うなんて思ってなかっ

た…。顔から火が出るほど恥ずかしい…。

「お前さ…。」

「えっ?」

蓮人さんが小さく何か呟いた瞬間に腕を引か

れて、廊下の装飾の陰でちゅっと短くキスを

する。
< 92 / 185 >

この作品をシェア

pagetop