オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
第4章 両想い、始めました。

初デート

お祭り騒ぎの校舎がいつも通りの景色に戻っ

たのだけど。

「玲くん。どこ行くの?」

「トイレ。」

「聖菜も行くっ!」

付き合うことになった聖菜と玲悟くんのイチ

ャイチャぶりは、見ているこっちが恥ずかし

くなる。

二人の恋を応援していたものの、いざこうな

ると、聖菜を取られて寂しかったり…。

聖菜が玲悟くんと付き合ったという噂はすぐ

に広がり、クラス中どころか、学校中の男子

がショックを受けていた。

その空気感にすら気が付かないとは…恐るべ

し水上聖菜…。

「ももちゃん、今日も蓮人さん迎えに来るん

でしょ?」

「うん。」

文化祭の後から、蓮人さんは仕事が終わる時

間が合えば、必ず校門に迎えに来てくれる。

放課後、早く蓮人さんに会いたいあまり、急

いで校門に向かう。

「蓮人さんっ!」

「もも。おかえり。」

その言葉と同時に頭にぽんっと手を置かれて

柔らかく微笑んでくれる。

私、この笑顔が大好きだな…。

頭に乗せられた手が離れると、私の手を握っ

て学校を後にする。

「いいなぁ」

「かっこいい~」

色んな声が耳に入ってくる。

蓮人さんの隣を歩けるのは嬉しいけど。

釣り合っていないことは私が一番よくわかっ

てる。蓮人さんが私のことを大切に思ってく

れていることもわかってるのに。

いつかもっと綺麗な人にとられちゃいそうで

不安が募る。
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