オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
「私、蓮人さんと釣り合ってないから…。い

つか美人で大人なお姉さんとかに、蓮人さん

取られちゃいそうだなって…。」

本人に言うようなことじゃないってわかって

るのに、不思議と全部吐き出せてしまった。

「ほんとばか。」

「え?」

呆れたわけでもなく、興味がないわけでもな

く、ただ私の心を包もうとしてくれてるよう

に温かい声。

「オレの目にはももしか映ってないから。こ

れから先ずっと。」

傍から見れば小さなくだらない悩みなのかも

しれないけど、この約束一つで私の心の霧は

晴れていく。

「私もです…。」

蓮人さんは私から少し体を離すと、額に短く

キスを落として、すぐに私の手を引いて歩き

出した。

私たち、人目につかないところとは言え、外

であんな…。

思い返すとすごく恥ずかしい…。

「じゃあ私、準備してきますね!」

私はカフェに入り、バイトの準備をした。

「ももちゃん、おはよう!」

「おはようございます!龍也さん!」

龍也さんは、文化祭の後も今まで通り変わら

ず接してくれる。

「龍也、ブラックちょーだい。」

「はいはい。」

蓮人さんと龍也さんも仲直りしたみたいで、

前と同じやりとりをしている。

龍也さんの懐の深さは底知れない。

「ももちゃん。聖菜ちゃんと玲悟は元気?」

「元気なんですけどね…」

二人は付き合ってから、カフェに来ることが

減った。
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