オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
というのも…。

「なるほど…。絵に描いたようなバカップル

だな…。」

蓮人さんがこう答えるのも無理はない。

「玲くん!今日は動物公園デート!」

「聖菜、今度の休みは遊園地行くか。」

「駅前のクレープはんぶんこしよ?」

毎日のように聞くイチャイチャラブラブデー

トコース。可愛らしいけど。けどけど。

「聞いてる方が恥ずかしいです。」

思わず声に出てしまった。

カウンター席に座る蓮人さんと隣でカップを

拭いている龍也さんは、「あの二人らしい」

とでも言うように微笑んでいた。

「もも。フルーツタルトちょーだい。」

「あ、はい!」

文化祭で出したフルーツタルトは店長にも気

に入ってもらえた。でも、さすがにそのまま

商品にはできないということで、龍也さんが

色々と工夫してお店に出すことになった。

「やっぱりこれ美味いけど…」

「けど?」

何か足りないかな?

「文化祭で食ったももの手作りが一番だ

な。」

たまに見せる無邪気な笑顔でそんなこと言わ

ないでよ…!嬉しすぎて、頬がどうしたって

緩んじゃう…。

「二人も玲悟たちに負けないくらいバカップ

ルだね。」

龍也さんの言葉に私たちは咄嗟に目を逸ら

す。

「私たちは普通ですよっ!」

「にしてはニヤニヤしてるけど?」

龍也さんは私と蓮人さんを交互に見ながら、

いたずらっぽく笑う。

でも正直ちょっと、聖菜と玲悟くんが羨まし

かったりする。
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