上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「ええ、なになに?3人だけで飲みに行ったんですかあ?」

あまえたような声で近づいてきたのは、私より一つ上の女性社員の飯田さんだ。
いつもバッチリメイクに、計算し尽くされたお洒落な髪型の彼女。目ぼしい男性社員には猫なで声で近付き、そうでない人には笑み一つ見せない。典型的な腰掛けOLだと、私は見ている。

でも、上司に媚びるのもうまくて、上から可愛がられているもんだからたちが悪い。鍵となる人を味方に付けているせいか、彼女の二面性のある部分を注意する人はいない。まあ、デレデレな男性社員は、そんなところに気付いてもいなさそうだけど……

チラッと三上さんと川北さんを見た。
三上さんは、我関せず。話しかけられたことに気付いてもいないっていう雰囲気を醸し出していた。
川北さんは……うん。バッチリ舌打ちが聞こえてきた。

「飯田さん……ちょっとね、2人に私の悩みを聞いて欲しくて誘ったのよ」

「ええ、そうなんですかあ?」

いちいち語尾が耳につく。聞いているだけで、無性にイライラしてしまう。
確かに見た目は可愛い。けど、こんな人に鼻の下を伸ばして、デレデレしている男の人の気が知れない。


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