上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜

もう一度、三上さんを盗み見た。相変わらず、無関心を貫いている。
ごめんなさい、川北さん。私も三上さんを見習います。

「そうよ。ねえ、羽場さん」

ああ……
川北さん、気付いていましたよね？私が無視を決め込んでいたことに。
軽く殺意が湧いたものの、なんとか堪えて引きつった笑みを浮かべてみせた。

「はい。ご一緒させてもらいました」

飯田さんは、そう答えた私に鋭い睨みを一瞬見せた。

飯田さんが、三上さんのことを狙う男の一人に入れているのは見ていればわかる。三上さんが仕事に前向きになったものだから、飯田さんの中で三上さんの順位も上がって、上位にいるのだろう。その三上さんと２人で食事に行ったり、何かとかまわれる私のことを不愉快に思っているだろうことは、容易に想像できる。

「三上さあん。本当ですかあ？」

「ああ」

視線も上げず、低い声で返す三上さん。
ああ……せめて視線ぐらい上げてよ。でないと、ますますこっちに敵意が向くじゃないの……
ほら、また睨まれてるし……