上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
エントランスで待つこと5分で、明日香がやってきた。

「お待たせ。さっ、行こう」

今夜は、私のマンションの最寄駅で見つけた、あの和風ダイニングで夕飯を食べることにしていた。

「いい雰囲気のお店ね」

「でしょ?料理も美味しいの」

「楽しみ……って、しおり。どうせまた、お一人様なんでしょ?」

「そ、そうだけど」

なんで責めるような言い方をされなきゃならないんだ?なにも悪いことしてないぞ……
でもなぜか、明日香の雰囲気に後ろめたさを感じてしまう。

「もう、しおり。いつもそうなんだから。彼氏とは言わないけれど、私以外にも親しくしできる友達とか作りなよ。お一人様が平気だなんて、自慢にもならないわ。というより、そんなことに慣れたら、独り身街道まっしぐらよ」

いやいや。
私だって、友達はいる。地元の子でしょ。学生の頃、離れていかなかった子でしょ。でも、みんな住んでいる場所が遠くなってしまって、簡単には会えないのよ。
そんなことを明日香に言うと……


< 153 / 286 >

この作品をシェア

pagetop