上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「秘書課で聞いた噂なんだけど……あくまで噂よ。三上さん、社長の一人息子らしいの」
今なんて言った?
「しおり、聞いてる?しおり?」
明日香に肩を揺さぶられて、はっとする。
「聞いてない。私、何も聞いてない……」
本人と話をしたくて、急いで席に向かった。でも、そこに涼介さんの姿はなかった。それどころか、見慣れたお誕生日席の上には、何も置かれていなかった。涼介さんがいつも使っていたコルクのコースターも、猫の写真の卓上カレンダーも……
課内でも誰も知らなかったようで、涼介さんの話で持ちきりだった。
「羽場さん」
身動きが取れずに呆然としていたら、川北さんが出勤してきた。彼女も少なからず動揺しているようだ。
「三上さんのこと知ってた?人事部って?」
「い、いえ。何も知らなかったです。何も……」
「えっ?だって、週末にご両親に挨拶をしに行ったんじゃあ……」
「い、行きましたけど……こんな話は何も……」
「大丈夫?ちょっと、一旦座ろうか」
川北さんに優しく肩を押されて席に着くも、どうしていいかわからずにいた。一応、スマートフォンを確認してみたけれど、涼介さんからは何も連絡がなかった。
今なんて言った?
「しおり、聞いてる?しおり?」
明日香に肩を揺さぶられて、はっとする。
「聞いてない。私、何も聞いてない……」
本人と話をしたくて、急いで席に向かった。でも、そこに涼介さんの姿はなかった。それどころか、見慣れたお誕生日席の上には、何も置かれていなかった。涼介さんがいつも使っていたコルクのコースターも、猫の写真の卓上カレンダーも……
課内でも誰も知らなかったようで、涼介さんの話で持ちきりだった。
「羽場さん」
身動きが取れずに呆然としていたら、川北さんが出勤してきた。彼女も少なからず動揺しているようだ。
「三上さんのこと知ってた?人事部って?」
「い、いえ。何も知らなかったです。何も……」
「えっ?だって、週末にご両親に挨拶をしに行ったんじゃあ……」
「い、行きましたけど……こんな話は何も……」
「大丈夫?ちょっと、一旦座ろうか」
川北さんに優しく肩を押されて席に着くも、どうしていいかわからずにいた。一応、スマートフォンを確認してみたけれど、涼介さんからは何も連絡がなかった。