上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「羽場ちゃん。暑さもおさまって、こんな暖かい昼下がりはおもわず眠くならない?コーヒーでも奢るからさあ、休憩しようよ」

私の冷たい口調にへこたれず、三上さんが纏わりついてくる。いや、この人なら、私の口調なんて気にもしてないな。

「眠くなったとしても、社会人としてそれを隠す努力をします。休憩ならお一人でどうぞ。私は一人の方が休まるので、然るべきタイミングで取らせていただきます」

「何その堅い返し。さすが、羽場ちゃんだね。はあ……じゃあちょっと休憩してくるわ」

三上さんは、頭をわしゃわしゃしながら立ち上がって歩き出した。通路の先の、自販機へ向かったようだ。

「はあ」

三上さんを睨むように見送って、ため息をこぼす。


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