初めての to be continued…
考えていたら、雄大が不機嫌そうにため息をついた。
「嶋田先輩が誰と付き合っても長続きしないのは、先輩から好きになった人じゃないからですよ、多分」
「言われて付き合ってるからってこと?」
「そうです。好きになれるかなって思いながら付き合ってるから、あやふやな態度になって、相手も先輩を信じられなくなって、フラれちゃうんですよ」
「そっか……」
「って、先輩には言っときましたから。芳子さんは心配しなくて大丈夫です」
「あれ……そう?」
「そうです。だから、連絡とかしないであげてくださいね。多分、芳子さんから連絡行ったら、へこむと思います」
「え、そう、かな」
「そうですよ。そっとしといてあげてください。今頃は多分立ち直ってるはずなんで」
「はい……」
段々、雄大の不機嫌さが増してきて、ちょっと怖くなってきたので、おとなしく返事をする。
なんだか、こんな雄大は初めてな気がする。
気まずくて、梅酒を一口飲んだ。
雄大のコップはもう空だった。
「飲むでしょ?」
瓶を持ちながら聞くと、雄大は無言で頷く。
不機嫌……だけじゃなさそうな顔。
「……どうかしたの?」
梅酒を注いで、コップを雄大の前に戻す。
雄大は、無言で一口飲んだ。
そして、うつむく。
「あー……いや、なんでもないです」

なんか、距離を置かれた気がした。

淋しくなって、私もうつむく。

どうしよう。どうしたらいいんだろう。
私がなにかしてしまったんだよね、多分。
なにか……なにを?
初めて会った時のことを覚えていなかったのはいいと言っていた。その時は、不機嫌ではなかったはず。
その後、嶋田の話になって……。

そこまで考えて、ハッと気付いた。

『焼け木杭に火が付いても困るんで』
『……そんなのわかりませんから』

もしかして、私が嶋田のことを気にしてるから?
でも、私と嶋田は正真正銘の友達で、雄大はそれを知ってるはず。
昔はともかく、今はお互いなんとも思ってないし……。

ふと、八重ちゃんの言葉を思い出す。

『芳子に近づこうとすると、必ず雄大が邪魔しにくるしね』
『全方位警戒態勢だからね。あれはもう番犬よ。がるるるる〜って」』

全方位ってことは、嶋田に対しても?
じゃあ、嶋田の話題で不機嫌になったのって……私が嶋田のことを心配してるから?

『芳子さんは心配しなくて大丈夫です』
『だから、連絡とかしないであげてくださいね』

不機嫌そうに言った雄大の顔。

もしかして、ヤキモチ、妬いてくれてるの?
私、自惚れてるんじゃないよね?
未だにどうしてだかわからないけど、雄大は私を好きでいてくれている。
5年も前から、ずっと。
そう、5年も。
だったら、それなら、自惚れじゃないのかも。

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