初めての to be continued…
 でも、やっぱり気になる。
「雄大、あの……」
 キスの合間に、どうにか口に出す。
「なんですか?」
「し、シャワー、したいな……」
 言ったけど、雄大はキスを続ける。
 そのままなのかな、と思ったら、名残惜しそうに頬にキスをして、私を抱き寄せた。
「……離したくないけど……仕方ないか……」
 そう言いつつ、離してくれない。
「一緒に入りましょうか」
「ーーーっ‼︎」
 驚いて声も出ない。
 首をぶんぶん横に振ると、雄大は笑った。
「じゃあ、それはまた今度ってことで」
 力が抜けて立てない私の頭をぽんぽんとなでて、バスルームに向かった。
 水音が部屋に響く。

 酔っ払った時の私にするみたいに。
 でも、それよりも、もっと優しくて、甘い。

 どうしよう。どうしたらいいかわからない。

 雄大がバスルームから出てきた。
「風呂、入れてますから。10分くらいで入れると思いますけど」
 平然と言う。

 なんだか悔しい。

「うん……」
 とにかく、準備をしようと、立ち上がる。
 でも、なぜだか力が上手く入らなくて、よろけた。
 咄嗟につかまったのは、目の前にいた雄大だった。
「やっぱり。こうなると思った」
 雄大は、私を抱き抱えて笑う。
「芳子さん、さっきから全然力入ってないの、わかってましたか?」
「え……?」
「多分、今、俺の手助けがないと、なんにもできませんよ」
 おもしろそうにクスクス笑っている。
「そんなことないよ。大丈夫」
 鞄のところへ行こうとすると、やっぱり足がふらついてしまう。
「ほら、ふにゃふにゃだ」
 雄大は私を抱き直して、腰を手で支える。
「そんなことないもん……」
 いちいち高鳴る胸を抑えたくて、離れようとすると、雄大が腕に力を込める。
「もうちょっと、こうさせて」
 抱きすくめるって、こういうのだったっけ。
 雄大の胸に、耳が付いた。
 すごい早さでドクドク鳴ってる。
 驚いて顔を上げると、目が合った。
「どうかしましたか?」
 優しい目。
 余裕がありそうに見えるけど、あんなにドクドクしてるんだ、と思ったら、また愛おしさがこみ上げてきた。
「ううん、なんでもない」
 自分から、腕の中に収まる。
 あったかくて、気持ちいい。

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