初めての to be continued…
「芳子さん、鞄、取ってきますから」
 急に体を離されて、ベッドの縁に座らされた。
 鞄を取りに行く雄大の横顔が見える。
 赤くなっている気がした。
 じっと雄大を見ていると、私の視線に気が付いたらしく、ふいっと顔を背けた。
 そのまま、鞄を私の足元に置く。
「タオル、出しますね」
 顔を背けたまま、ベッド脇のクローゼットからバスタオルを出して、渡してくれた。
 私が、雄大の顔を見続けていることには気付いているみたい。
「芳子さん、あの……」
 口元を手で押さえて、目をそらしたまま言う。
「なに?」
「そんな風に見られてると、我慢できなくなっちゃうんで……」
「え……あ、ごめんなさい」
「いや、あの、すいません……」

 しばしの沈黙。
 お風呂が入ったよ、という音楽が流れてきた。
「お先にどうぞ。中にあるものは、好きに使ってください。なにかあれば、呼んでください」
「うん、ありがと」
 立ち上がろうとすると、雄大が支えようと手を伸ばしてくる。
 遠慮なくその手につかまった。
 大きくて力強い、あったかい手。
 5年前から支えてくれていたその手を愛しく思いながら、バスルームへ入った。



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