初めての to be continued…
「風呂、入れてますから。10分くらいで入れると思いますけど」
声をかけるとゆっくりした返事が返ってくる。
「うん……」
危ないな。力が抜けたままなのに、多分本人は気付いてない。
立ち上がろうとするのを支えると、よろけて俺の胸に飛び込んできた。
抱き止めて、腰から支える。
「やっぱり。こうなると思った」
予想通りで、笑ってしまう。
「芳子さん、さっきから全然力入ってないの、わかってましたか?」
「え……?」
「多分、今、俺の手助けがないと、なんにもできませんよ」
そう言うと、芳子さんはちょっとむくれた。
「そんなことないよ。大丈夫」
動こうとするけど、ふらついている。
「ほら、ふにゃふにゃだ」
「そんなことないもん……」
まだ抵抗して動こうとするのを、つかまえて、抱きしめた。
「もうちょっと、こうさせて」
また、離したくなくなった。
風呂が沸くまで、こうしていたい。
芳子さんは、腕の中でじっとしていたけど、不意に顔を上げる。
「どうかしましたか?」
覗き込むように、見上げている。
なにを思っているのかわからない。
でも、あんまり素直に顔を見つめられると、俺も恥ずかしい。
どうしようかと思っていたら、芳子さんが笑った。
体中が心臓になったかと思ったくらい、ドクンと波打った。
芳子さんは、軽く首を振る。
「ううん、なんでもない」
笑顔で、そのまま俺の腕の中に収まった。芳子さんから。
体が熱くなる。湯気が出そうだ。
顔が赤くなっているのがわかった。
ヤバい、このままだと押し倒してしまう。
「芳子さん、鞄、取ってきますから」
顔を見られないようにしながら、芳子さんをベッドに座らせる。
芳子さんの鞄は、部屋の隅に置いてあった。
それを芳子さんの足元に置く。
芳子さんは、その間じっと俺を見ている。しかも、俺の顔を見たいようだ。
意識すると、ますます顔が火照る。
見られないためには、離れるしかない。
「タオル、出しますね」
そう言って、クローゼットを開けた。
とりあえず顔は隠せたけど、そう長くはこうしていられない。
バスタオルを渡す。
芳子さんは、まだ見ている。
「芳子さん、あの……」
もう耐えられない。正直に言うしかない。
「なに?」
「そんな風に見られてると、我慢できなくなっちゃうんで……」
「え……あ、ごめんなさい」
「いや、あの、すいません……」
間違えてキスをしないように、自分で口を押さえた。今、キスをしてしまったら、今度こそ止められなくなる。
風呂がわいたと、機械が音楽を流して教えている。
「お先にどうぞ。中にあるものは、好きに使ってください。なにかあれば、呼んでください」
「うん、ありがと」
立ち上がる芳子さんに手を差し出す。
芳子さんは、一瞬じっと俺の手を見つめて、素直につかまった。
なんだか嬉しそうに笑っている。
よくわからないけど、芳子さんが笑ってるならそれでいい。
芳子さんは、笑顔のまま風呂場へ入っていった。
声をかけるとゆっくりした返事が返ってくる。
「うん……」
危ないな。力が抜けたままなのに、多分本人は気付いてない。
立ち上がろうとするのを支えると、よろけて俺の胸に飛び込んできた。
抱き止めて、腰から支える。
「やっぱり。こうなると思った」
予想通りで、笑ってしまう。
「芳子さん、さっきから全然力入ってないの、わかってましたか?」
「え……?」
「多分、今、俺の手助けがないと、なんにもできませんよ」
そう言うと、芳子さんはちょっとむくれた。
「そんなことないよ。大丈夫」
動こうとするけど、ふらついている。
「ほら、ふにゃふにゃだ」
「そんなことないもん……」
まだ抵抗して動こうとするのを、つかまえて、抱きしめた。
「もうちょっと、こうさせて」
また、離したくなくなった。
風呂が沸くまで、こうしていたい。
芳子さんは、腕の中でじっとしていたけど、不意に顔を上げる。
「どうかしましたか?」
覗き込むように、見上げている。
なにを思っているのかわからない。
でも、あんまり素直に顔を見つめられると、俺も恥ずかしい。
どうしようかと思っていたら、芳子さんが笑った。
体中が心臓になったかと思ったくらい、ドクンと波打った。
芳子さんは、軽く首を振る。
「ううん、なんでもない」
笑顔で、そのまま俺の腕の中に収まった。芳子さんから。
体が熱くなる。湯気が出そうだ。
顔が赤くなっているのがわかった。
ヤバい、このままだと押し倒してしまう。
「芳子さん、鞄、取ってきますから」
顔を見られないようにしながら、芳子さんをベッドに座らせる。
芳子さんの鞄は、部屋の隅に置いてあった。
それを芳子さんの足元に置く。
芳子さんは、その間じっと俺を見ている。しかも、俺の顔を見たいようだ。
意識すると、ますます顔が火照る。
見られないためには、離れるしかない。
「タオル、出しますね」
そう言って、クローゼットを開けた。
とりあえず顔は隠せたけど、そう長くはこうしていられない。
バスタオルを渡す。
芳子さんは、まだ見ている。
「芳子さん、あの……」
もう耐えられない。正直に言うしかない。
「なに?」
「そんな風に見られてると、我慢できなくなっちゃうんで……」
「え……あ、ごめんなさい」
「いや、あの、すいません……」
間違えてキスをしないように、自分で口を押さえた。今、キスをしてしまったら、今度こそ止められなくなる。
風呂がわいたと、機械が音楽を流して教えている。
「お先にどうぞ。中にあるものは、好きに使ってください。なにかあれば、呼んでください」
「うん、ありがと」
立ち上がる芳子さんに手を差し出す。
芳子さんは、一瞬じっと俺の手を見つめて、素直につかまった。
なんだか嬉しそうに笑っている。
よくわからないけど、芳子さんが笑ってるならそれでいい。
芳子さんは、笑顔のまま風呂場へ入っていった。