一ノ瀬君と克服ミッション
だけど、振り払うことが頭に浮かばなかった。


気持ち悪くもなかった。


「大丈夫だよ」


「わかった、無理しないでね」


わたしの顔色を窺ってくれる悠にくすぐったい感覚になる。


この練習を始めてから二週間がたっていて30秒しか手が握れなくて焦ってしまう。



とてもゆっくりしたペースで進む私がどれぐらいの時間がかかるんだろうと思う。


悠は初めての出会いでは、意地悪な最低人間だと思っていたはずなのに全然そんなことなかった。



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