隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
◆◇FIRST×STORY◇◆
「……どうも」
◆◇◆
夏休み明け。
まだまだ太陽が照り付ける今日。
私、朝桐楓音(Asagiri Kanon)は、教室でぼっち飯の真っ最中。
心の中では、先ほどから、エンドレスでこう叫んでいる。
出遅れてるっ…!私、完全に、出遅れてるよ…!
グループを作って、楽しそうにお弁当を食べる周囲の中、ポツンと私一人。
……最悪だっ!
こうなったのも全部、お母さんのせいなんだからね!
―――遡ること、入学式当日。
憧れていた高校生活が始まることに、胸を膨らませ帰宅をすると、
「あっ、おかえり楓音ちゃん。入学式どうだった?」
「へ?あ、うん、楽しかったけど……ところで、お母さん。そこにある、どでかいキャリーケースは一体なにごと……?」
しかも、いつもよりお化粧がばっちり決まっている。
よそ行きの服まで着ちゃってる。
「え?忘れちゃったの?これからシンジさんと、新婚旅行に行くのよ」
「えっ……!今から…!?」
ちなみに、シンジさんというのは、お母さんの再婚相手だ。(※三回目)
目を真ん丸にさせ驚いていると、二階からシンジさんがドタバタと降りてくる。
お父さんと呼ぶのは年頃の私にとってまだハードルが高くて…。
少々他人行儀ではあるが、シンジさんと呼ばせてもらってる。
ちなみに、私の苗字である朝桐は、母の旧姓であり、シンジさんの苗字は片岡という。
< 1 / 211 >