隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
◆◇斎宮SIDE◇◆
笑顔を浮かべそう言うと、朝桐は保健室を出て行った。
……なんだ、これ。
心臓が、痛い。
ギュッと締め付けられる感覚だ。
痛みなんていらないのに、感じていたい。
離れていたいのに、手放したくない。
……矛盾してるな。
ベッドの縁へ腰かけ、バタンッと上半身を倒す。
あーあ、何やってるんだろう俺は……。
後悔はしていない、と言ったら嘘になる。
なんで自分の生活の危険を脅かすようなことをしたのか、自分でもよく分からない。
あの時は、なんとなく、朝桐を見ようと思って、グラウンドへ出向いた。
そうしたら、『イケメン』なんて変な借り物を引いて焦ってる朝桐がいて。
勿論その時は、知らん顔してたし、別にどうなろうと興味なかった。
それなのに、あのオレンジ頭が突然現れて、朝桐に触れようとしてるのを見たら……身体が勝手に動いていた。
気づいたら、変なことも口走ってたし……。
はぁ~……あんなのは俺じゃない。
俺のキャラじゃないのに。