隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「……ここにいて」
◇◆◇
翌朝。
いつもよりちょっぴり早起きを頑張った。
もちろん斎宮くんに少しでも早く会うためだ。
まだ人通りの少ない廊下を歩き、二組を目指す。
そして、ドアを開け真っ先に目に飛び込むのは、私の隣の席にある見慣れた姿。
今日も腕を枕にして眠っているようだ。
……朝から寝るって、どんだけ寝不足なの。
普段ちゃんとお家で寝てる……?
自分の席にカバンを置きながら、横目でそんなことを思う。
「おーい、斎宮くーん?起きてる?」
「……」
……あれ、返事がない。
てことは、本当に寝てるのかな?
辺りをキョロキョロと見渡し、人がいないことを確認する。
そして思い切って、トントンと肩をつつく。
「斎宮くん……?ほんとに寝てるの?」
「……あ…っ?」
目を覚ましたのか、ぼやけたような声を出す。
…あっ、もしかして起こしちゃったかな……。
寝起きの斎宮くん、いっつも機嫌悪いんだよね。
そんな心配を浮かべていると、腕からほんの少し顔を上げ、ずれたメガネの奥から虚ろな目を向けていた。
「いっ、斎宮くん…どうしたの?」
なんだかいつもと様子がおかしいような……。
再び声をかけようと近づき、ハッと気がつく。
「えっ……顔、真っ赤じゃん…!」
髪の間から見える顔色は、真っ赤で。
呼吸は静かでありながらも、とても荒々しく感じた。
「だっ、大丈夫?もしかして、熱があるんじゃ……」