隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「俺と付き合ってよ、楓音」
―――その日の放課後。
日直当番の仕事を終え、日誌を書いていた。
もちろんこんな時間に、教室にいるのは私しかいない。
昼間と違い、静かな教室で淡々と仕事をこなす。
斎宮くん、大丈夫だったかなぁ。
先生が付き添ってるし、何もないとは思うんだけど。
……先生めっちゃ怒ってたな。
体調管理だけはちゃんとしておこっと。
首根っこを掴まれ無理矢理連行される斎宮くんを思い出し、つい笑いが込み上げる。
ふぅ……笑ってる場合じゃないよね。
私もいろいろあって疲れちゃったし、今日は即帰宅コースだね。
さっさと残りの部分も書ききっちゃうぞーっ!
心の中で雄叫びをあげていると、突然教室の後方のドアが音を立てる。
「…あれ?太陽くん?」
なんで太陽くんがこんな時間に教室に……?
「あ~…やっほ、楓音…」
苦笑いを浮かべ、どこか気まずそうな喋り口調。
「どうしたの?忘れ物?」
「…いやっ、そういうわけじゃないんだけど……」
ん?どうしたんだろう?
いつもより元気ない……?
さっきから視線合わせてくれないし、どこかよそよそしいっていうか。
首を傾げ、疑問の表情を浮かべる。