隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
そんなこと言われなくても分かってる……。



俺は、楓音を傷つけた。

楓音は俺のことを必死に守ろうとしてくれてたのに。



そんなことにさえ気づけなくて、俺は楓音に酷いことを言ってしまった。



「それに、決めるのは楓音自身だからね。斎宮が素顔をばらしてもいいって言っても、楓音がなんていうか分からないよ」



……確かに、平賀の言う通りだ。



楓音が誰を想って、どうしたいのか。

いまの俺には分からない。



「……ま、いいや。本当はこのこと、斎宮に話すつもりなかったけどなぁ~。仕方ないっ、どうなるか分かんないけど、俺は楓音を手放すつもりはないからね…」



平賀は言いたいことは全て言い終えたのか、俺の返事を待たないままこの場から立ち去ろうとした。



もう俺の気持ちは分かってる。

……自分がなにをしたいかも分かってる。



だからこそ、平賀には絶対負けられない。



…こんなことするキャラじゃないんだけどな。



気づけば、立ち去る後ろ姿に叫んでいた。



「俺は、朝桐が好きだ。だから、平賀から絶対奪い返す」


「……あっそ」



……俺、キャラぶれっぶれじゃん。……はず。
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