隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「私と斎宮くんは友達じゃん!」
◇◆◇
「みてみて斎宮くんっ!今日のお弁当の出来栄えはどう?」
「……」
あれ。私たち、友達だよね?
……おっかしいなぁ。
よし、もう一度……。
「みてみて斎宮くんっ!今日のお弁当の出来栄えはどう?」
「……」
……やっぱりダメだ、見向きもしてくれない。
しかも毎度のことに無視してくるし……ぐすん。
最近の斎宮くんは、前にも増して冷たいです……。
冷酷です。ひえひえです。冷え切ってます。
諦めてお弁当を自分の机へ置き、無言で食べ始める。
今日のお弁当は結構自信作だったんだけどなぁ。
いつもより朝に余裕があったから、ちょっぴり張り切ったのに。
あ、やっぱりこの玉子焼き、最高だ。
斎宮くんの秘密を知った日から約一週間。
私はいつも通り、モジャメガネの斎宮くんと一緒にご飯を食べる日々を送っていた。(ただ隣の席なだけ)
せっかく友達になったのに、相変わらずの塩対応。
さすがの朝桐さんも、プンプンですよ。
自信作の玉子焼きにフォークを突き刺す。
「ねえねえ、午後の授業の宿題ちゃんとやってきた?」
「……」
それでもめげずに話しかけてみる。
「宿題のくせに難しすぎて、終わらせるのに一時間もかかっちゃったよ~」
「……」
「そういえば今日、雨が降るって行ってたけど傘持ってきた?」
「……」
やっぱり今日も斎宮くんは、冷たいです……ぐすん。
落ち込むかと思いきや、ポジティブ朝桐は気持ちの切り替えが早いのが特徴だ。
次の瞬間には、ケロッとした表情に戻る。
いいもんっ別に!
斎宮くんがどれだけ私のこと無視したってめげないもんっ!
きっと最近は私と話す気分じゃないんだっ!
お弁当の味を堪能したいんだよね!
それなら仕方ない!!許す!!