隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「……朝桐って変わったやつだね」


「そ、そう?どちらかというと、私より斎宮くんのほうが変わってると思うけど」


「俺は普通だよ」


「じゃあ私も普通だもん」



何故か誇らしげに、ニンマリと笑みを作る。



「ミャ~」


「あっ、どうしたのポチ?お腹空いた?」


「ポチ……?」


「そう!この子猫ちゃんの名前だよ」



斎宮くんの腕に抱かれたポチの頭を優しく撫でながら答える。



「俺が飼うのに勝手に名前つけてるし……。しかもポチって、ネーミングセンス大丈夫?」


「えっ、そう?いいじゃん可愛いし!ポチもこの名前気に入ってるよね~」


「ミャ~」



ほらねっ。

ポチも気に入ったって、嬉しそうに鳴いてる。



「まぁいいや。俺は帰るから」


「うん、そうだね。……あっ、みてみて斎宮くん!虹が出てる!」



いつの間にか雨は止み、空を覆っていた雲は消え去っていた。



代わりに青空が広がり、指さす先には虹が架かっていた。



「そうだね」


「……って、ちゃんと虹見てる!?ポチのほうしか見てないよね!?」



また、適当に相槌したんだな~!

斎宮くんのやり口が、どんどん分かるようになってきたぞ……。




「帰ろっか、シズク」


「シズク……!?私のポチは!?」


「却下に決まってんじゃん」



斎宮くんは鼻先でそう笑うと、ポチ改めシズクを連れ行ってしまった。



……私もお家に帰ろっと!



二人の後ろ姿を見送り、我慢できずに笑みが零れる。



こんなにも足が軽くて、胸が弾むのは、斎宮くんとシズクのおかげだね。

また明日からの学校が楽しみになっちゃった!



私の心もあの青空に浮かぶ太陽みたいに、明るく温かく晴れ渡ったのだった。
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