隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「……分かった。見てあげるから、早く離れて」


「ほんとっ?やったー!ありがとうっ、斎宮くん!」



これで断られたら土下座しちゃうとこだったよ。

よかった、私の尊厳はぎりぎり守られた。



やっぱり斎宮くんはいい人だっ。



張り切って練習しないとね!



「まずは朝桐がどこまで踊れてるのか確認するから、音楽流して二、三回踊ってみて」


「う、うん!分かった」



見られながら踊るのって、ちょっと緊張するけど、真面目に頑張らないとねっ……!



スマホを床に置き、音楽を流す。



~♪~♪~♪

~♪~♪~♪



言わずとも、私はどんな時だって一生懸命真剣にやっています。



「ど、どうかな…?」



ダンスを二回踊り切り、ハァハァと息を切らせる。



つ、疲れた……息、ぐるしぃ……。

我ながら自分の体力のなさには、呆れてくる……。



「うん、やばいね。下手くそすぎ」


「へ、下手くそ……!」



ドストレートな言葉がグサグサッと胸に突き刺さる。



「最初のステップが違うし、音楽聞いてないせいで、段々踊りがズレてきてる。あと、腕がちゃんと伸びてない。それと、踊るときは足を見るんじゃなくて、正面を向いて踊ること」


「は、はい……」



物凄く指摘された気がするけど、どれも的確だ。

ちゃんと私のこと見ててくれたんだ……。



正直、ここまで真面目に見てくれると思ってなかったからビックリした。
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