隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「なにボーっとしてんの?まだ休憩するには早いよ」


「え~……ちょっとだけ休ませて……」


「ダメ。さっさと終わらせて、俺は帰りたいんだから」



ひぃ!鬼……!スパルタだ……!



目配せで「やれ」と圧をかけられ、渋々身体を起こそうとする。



私の立場上、斎宮くんに逆らえないのでね……。

どこまでも鬼教官についていくしかないのです……。



「わっ……!」


「……ちょっ、」



立ち上がろうとした瞬間、足がふらついてしまい体勢を崩した。



こっ、転ぶ……!



……



……あれ?転んで、ない?



訪れるはずの痛みがなく、むしろ何かに支えられているようだった。



そしてゆっくり目を開き、ギョッとした。



「……なにやってんの」


「…えっ、あっ…!?」



腰に回される腕。微かに香る香水。

そして、見上げた先には、斎宮くんの顔。



メガネ越しに、薄っすらと瞳がみえた。



「ご、ごごめん……!」



転びそうになる私を、斎宮くんが支えてくれていたのだ。
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