隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
事実を知り、途端、ドキドキと心臓が鳴り響く。



そして顔中に熱が集まりだすのを、私の意思では止めることが出来ない。



「ほんとっ、ごめんなさい…!それと、助かりました……」



恥ずかしくて、斎宮くんの顔が見れない……。

私ってば、なんてことをしてしまったのだ……。



「……気をつけろよ」



腰に回っていた斎宮くんの腕がゆっくり解かれ離れる。



離れたあとも心臓は中々落ち着いてくれない。

羞恥心が募っていく一方だ。



斎宮くんに背を向け、バレないように心臓に手をあて必死に宥めようとする。



いっ、いまのは、不可抗力…。

仕方ない、いまのは、仕方のないこと……。



「……朝桐?」


「へっ!?あ、そうだ!練習始めないとね!」



いまのは忘れよう!うん、そうだ!忘れるべきなんだ。



それから私は、余計なことを考えないよう、踊りに踊りまくった。

もちろん、斎宮くんのスパルタ指導で。



しかし、おかげで最初の頃と比べると、見違えるほど踊れるようになっていた。



「すごい……っ、斎宮くんのおかげで、こんなに踊れるようになったよ!」


「まぁ、まだまだ下手だけど」


「斎宮くんって教えるの上手なんだね!すごいよっ」



ぷはぁ~。

身体を動かしたあとの水って美味しい!



斎宮くんのおかげで踊れるようになったし、明日にでも先生に見てもらわないとね。



「そういえば、綱引きの練習はちゃんと参加してるの?」


「してない」



さっき聞いたら、斎宮くんは残り物の綱引きに出ることになったらしい。



「練習に出ておかなくて大丈夫なの?」


「誰も俺のことなんて気にしてないし、当日もサボる予定だから」


「えぇ~?せっかくの体育祭なのに勿体ない!身体動かすのが得意なら、リレーとかに出ればよかったじゃん」



唯奈ちゃんも斎宮くんも、体育祭にやる気なさすぎ!

せっかく運動出来るなら、もっと楽しまないと!
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