隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「俺にしとけば?」
◆◇◆
長かった練習期間も終わり、今日は待ちに待った体育祭当日。
広く青い空に秋の静かな雲が流れる。
澄んだ空気が心地よく、絶好の日和だった。
全校生徒の前で、青空をバックに開会宣言をする校長先生。
校長先生の有難いお話を聞いてるのは僅か全校生徒の二割で。
残りの八割の生徒は、いよいよ始まる体育祭に胸躍らせ、友達同士で盛り上がりを見せていた。
ちなみに私も八割の生徒の方に入るのだけれど、盛り上がる余裕など皆無で、何十回目の深呼吸をしている途中だった。
「……楓音、大丈夫?鼻息すごいよ」
隣の列に並ぶ唯奈ちゃんが、心配して声をかけてくれる。
「だっ、大丈夫……!あれだけ練習したんだもん、大丈夫…っ」
この後は、いよいよダンスだ…。
先生にはちゃんとOKもらったし、毎日お家で自主練もした。
それに、斎宮くんに練習だって付き合ってもらったんだもん。
……今日こそ、練習の成果をみせるときだ!
「えーでは、これより、全校生徒による開会のダンスを行います。みなさんは、指定の場所へと移動をお願いします」
「頑張ってね、楓音」
「うん、ありがとう唯奈ちゃん!」
校長先生の開会宣言が終わり、いよいよダンスが始まる。
心臓はさっきからドキドキしっぱなしだけど、大丈夫。
最初と比べると、ちょっとずつ落ち着いてきたかも。