隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「朝桐は、俺のものなのに」
「はあっ…はあっ…はあっ……」
…きっと、ここまで来れば、大丈夫なはず……。
息を切らせ、大きな呼吸を繰り返す。
「……こんだけでへばってるんだ」
こんだけでって、校舎までずっと走ってきたんだよ……?
へばらないほうが、おかしいです……。
隣では、息一つ切らせない、涼し気な顔を浮かべる斎宮くんが、私を見下ろしていた。
「だって、全速力で走ったんだもん…もう、私の体力は限界、です……」
「……とりあえず、こっちきて」
えっ、どこ行くんだろう……。
私はもう足が限界なんだけど……。
「……ここで休憩しよ」
と、言われ連れて来られたのは、保健室だった。
「えっ、保健の先生は……?」
「今日はグラウンドに出張中。だから、誰もいないはず」
「でも、鍵がかかってるんじゃ」
すると、斎宮くんはジャージのポケットから何か取り出す。
「これ、保健室の鍵」