隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
震える声で…でも、しっかりと目を見つめて問いかける。



僅かな静寂な時間のはずなのに、悠久の時のように、とても長く感じる。



心臓が毎秒ごとに鼓動を増し、私にその意味を訴えかける。



「意味って、そりゃ……友達だから?」


「……はい?」



友達……?



「朝桐は俺の友達じゃん。なのに、友達差し置いて、違うやつ選ぶなんてムカつくじゃん」



悪気のない顔で「当たり前だろ?」と付け加える斎宮くん。



「……ですよね。そうだよね……!ごめんごめんっ、私なにか勘違いしてたかも」



そうだよね!

私たちは友達だもん。



だから斎宮くんは困っていた私を助けてくれたんだよね!

そんなの最初っから考えれば、分かることだよね!



あははっと明るく笑ってみせる私を、斎宮くんがどんな顔して見ていたのかは分からない。



でも何故か、ちょっとだけ。

ほんの少しだけ、胸がチクリと痛んだ気がしたんだ。



友達って言われて、嬉しいはずなのに。

なんでだろうな……。



「じゃ、じゃあ私はそろそろ体育祭に戻るね…!そろそろ、唯奈ちゃんのリレーも始まると思うし……」



それだけを告げ、勢いこのまま、保健室を出て行こうとした。
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