エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

その週末、宏希さんは結婚の話し合いのために、一旦実家に戻った。

すでに同棲している彼のマンションで帰りを待っていた私は、玄関のドアを開けた瞬間浮かない顔をした彼を見て、説得が失敗に終わったことを知った。


「はー」


ドサッとソファに座り、盛大なため息をつく宏希さんを前になすすべもなかった。

彼がこんなに苦しんでいるのに、「それなら別れましょう」とはどうしても言いたくない。


「忍」


宏希さんは立ち尽くす私に視線を送ったあと、腕を強く引いて膝の上に私を座らせた。

近い距離にたちまち鼓動が速まり、息が苦しくなる。


「お前の耳にも入るだろうから言っておく」


なに? 深刻な話?
しばらく口を閉ざし、私を見つめたままの宏希さんの様子に、緊張が高まる。


「見合いの日時を指定された。俺は行かないと言ったが、行かなければ営業統括部の予算を取り上げると」
「え……」


予算がなくなると、とあるサッカーチームとの契約に影響が出る。
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