エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「内緒だよ」
すると和宏も口を閉ざし、買ってもらったミニカーで遊び始める。
だから私も仕方なく黙っていた。
それから二十分ほどで到着したのは、『フルジェンテ』という店構えからして高級なイタリアンレストランだった。
「こんなところに子連れは……」
ドレスコードがありそうなレストランに、和宏を連れては入れない。
「予約のときに言ってあるし、個室にしてもらったから大丈夫」
「個室?」
しかも予約もしてあるの?
今日はずっと驚くようなことだらけで、心臓がバクバク音を立て通しだ。
「うん。それにさっき話した一ノ瀬が、ここはあらかじめ依頼しておけば子供用のメニューも用意してくれるって言うから」
「子供用……」
そんな配慮まで……?
「行こうか」
彼はドアを開けて、私をエスコートした。
大理石の床に眩いシャンデリア。
どう考えても場違いだと腰が引けたが、よく考えると素敵なワンピースを纏い、メイクも完璧にしてもらったのは、ここに来るためだったの?