エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「浅海です」
「お待ちしておりました。こちらへ」
案内されて入ったのは、三人で使うには広すぎる個室だった。
緊張の面持ちで和宏と並んで座ると、宏希さんは余裕の笑みを浮かべている。
「すぐにご用意いたします」
「お願いします」
どうやら料理も注文済みらしい。
隣の和宏がソワソワしだして私が焦る。
慣れない場所で私と同じように緊張しているのだろう。
「和宏くん、もういいよ」
「うん! ママ、いつも僕のために頑張ってくれてありがとう」
「えっ……」
突然なに?
和宏はポケットから折りたたんだ紙を取り出して私に差し出す。
それを手に取って広げると、私の顔が大きく描かれていた。
「引っ越しで遅れちゃったけど、母の日だったから」
宏希さんがそう言った瞬間、瞳が潤んできた。
ふたりが朝から示しあわせた様子だったのは、すべてこのためだったんだ。
「和宏……」
「いつもご飯作ってくれたり、お仕事してくれたりしてありがとう」