エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
宏希さんとふたりで暮らしていた頃は、夕食にワインをたしなむこともあったけれど、今は和宏がいるからか飲もうとはしない。
でも、家主に遠慮ばかりさせては申し訳ないと、今日は赤ワインも準備してある。
途中で和宏の様子を見に行くと、彼は目を開けていた。
おやつも食べていなかったので「つまみ食いする?」と声をかけたが、首を横に振る。
こんなことは初めてだ。
「本当に体調悪くない? ママ、心配なの」
「大丈夫」
そう繰り返すばかりで動こうとしないので、再びキッチンに向かった。
十九時半を過ぎた頃、宏希さんが珍しく早めに帰宅した。
「ただいま。にんにくのいい香りがする」
「今、アヒージョを作ったので」
「和宏くんは?」
いつもは真っ先に駆け寄って抱きつく彼がいないからか、宏希さんは視線をリビングに向けた。
「それが、園から帰ってきてからずっと布団の中で、出てこないんです」
「体調が悪い?」
心配げに眉根を寄せる彼に首を横に振る。