エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「絶対に内緒にしてくれる?」

「うん、約束」

「あのね……。今日、幼稚園でお父さんの絵を描きましょうって言われて……」


そこまで聞いてハッとした。
もうすぐ父の日だからだ。

保育園は私のようなシングルマザーも多数いたので、母の日も父の日も、どちらの絵とは指定されなかったはずだ。

けれど、今の幼稚園は保育時間が短く土曜も完全にお休みのこともあり、シングルマザーはほぼいないと聞いている。


「それで描けなかったのか」


ため息交じりの宏希さんの声を聞き、私は動揺していた。

ごめんね、和宏……。

そんなつらい思いをさせていたのかと思えば、胸が張り裂けそうだ。

しかも、仕方がないとわかっているからこそ私にも言えなかったのだろう。


「和宏くん、俺を描いてくれない? 和宏くんのパパじゃないけど、代わりにならないかなぁ。それと明日の朝は、俺と幼稚園に行こうか」

「いいの?」


宏希さんの提案に目が飛び出そうだ。
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