エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

そんなことまでしてくれなくていいと口を挟みたくもなったが、聞いていないことになっているので入っていけない。


「おぉ。描いてくれるとうれしいな。俺でごめんな」

「いいよ。浅海さんのこと大好きだもん!」


和宏の声に張りが出てきた。

私は聞いているのがいたたまれなくなり、リビングに戻ってキッチンでこっそり目頭を押さえた。


するとしばらくしてリビングにやってきた宏希さんが、なにも言わずに私の横に立ち、励ますように肩を抱き寄せる。


「聞こえてた?」
「……はい」
「明日、幼稚園に送っていってもいい?」
「そんなご迷惑をおかけするわけには……」


声を振り絞ると我慢していた涙がこぼれそうになり必死にこらえた。


「迷惑なんかじゃない。たとえ父親じゃなくても、波多野さんも和宏くんも俺の大切な人なんだ」

「……ありがとうございます」


もうあなたが父親ですと告白してしまいたい。
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