エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
でも、宏希さんが忘れてしまった期間の責任を取ろうとしているのなら、私が勝手に決めた運命を背負わせるのは酷だ。
しかも、おそらくご両親は認めてはくれない。
そうしたらもう一度別れのつらさを味わうことになる。
和宏がいなければ立ち直れなかったかもしれないほどの痛さを伴った別れを、もう二度と経験したくない。
「ひとりで頑張らなくていい。せっかく俺がそばにいるんだから、手伝わせてほしい」
彼の優しい言葉は、私の胸に響いた。
翌日は、雨が今にも降りだしそうな曇天だったが、和宏は元気いっぱい。
あれから描き上げた宏希さんの絵を大切そうに抱えて、三人で登園した。
「おはようございます」
いつものように門の前で見送ろうとしたら、先に登園して園庭で遊んでいたクラスメイトが寄ってくる。
「和宏、パパいるじゃん」
ひとりの男の子が大きな声をあげると、宏希さんに注目が集まる。