エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「あのチームのチケットなら格安で手に入る。忍も契約に貢献したんだからお得に観に行く権利はある」


私は社員じゃないのに、本当にいいの? 

しかし、こうして親切にしてもらえることに慣れつつあることが少し怖くもある。

いつか別れが来るのなら、これ以上踏み込んではいけないとどこかで警笛が鳴っている。


もしも宏希さんがすべてを思い出したとしても、三人で暮らせるとは限らない。

おそらく彼の両親は反対するだろうし、和宏を孫として認めてもらえないのなら、宏希さんとは別の道を歩いたほうがいい。

一番大切なのは和宏。
彼が傷つくようなことだけは絶対にしてはならない。


そんなことを考えていると、彼の手が伸びてきて私の右手を包み込んだ。


「忍、ごめんな。全部俺が悪いんだ。俺の記憶が――」
「違います!」


大きな声が出て、ハッと口を左手で押さえる。
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