エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
もう一度、君に恋した

「波多野さん、行ってくる」


ふたりですごした時間以来、また「波多野さん」に呼び方が戻り、少し寂しい。

けれどもこれが本来の形なのだから、くよくよしていないで笑っていようと口角を上げる。


「行ってらっしゃい」
「浅海さん、行ってらっしゃい」


私が見送りをしていると、制服のシャツにパンツ姿の和宏が飛んできた。


「あはは。和宏くん、行ってきます。ズボンはけよ」


宏希さんは和宏の頭を撫でて出ていった。


「和宏……。パンツ姿は失礼だから」
「浅海さんにバイバイしたいもん!」


悪びれる様子もない彼は、タタッと部屋に戻っていく。


ここにきてから和宏は随分成長した。

ふたりで暮らしていたときは、着替えができないと手伝わされていたけれど、今は自分ですべてやる。

もしかしたら……なかなかかまってやれなかったから甘えていたのかもしれないとも感じた。

今は、園から帰ってきたあと家事をしながらでも触れあう時間がたっぷりあって、本当にありがたい。
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