エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「波多野さんのそういう真面目なところ、本当に素晴らしい。母親って強いんだなと何度も思わされたことか。でも、自分も大切にして」


宏希さんはそう漏らしたあと、膝の上の私の手をそっと握る。


「母親が子に注ぐ無償の愛は美しいし、真似できないなと思う。でも、子供はママが幸せじゃないと幸せにはなれないんだよ」


そんなふうに考えたことがなかったので、衝撃だった。


「私が?」
「そう。和宏くんは波多野さんの笑顔が好きなんだ。だから、肩の力を抜いて。ひとりで頑張らなくていいし、なんでも完璧にこなす必要もない。申し訳ないなんて思わずに、もっと俺を頼ってくれないか」


もっと? もう十分助けてもらっているのに、これ以上を望むなんて、そんな。


「もちろん、ただの同居人としてでもいい。頑張りすぎる波多野さんが心配なんだ」
「浅海さん……」


彼の優しい発言はいちいち心を揺さぶるから困ってしまう。
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