エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
目頭が熱くなりうつむくと、彼はさらに手を強く握りしめてきた。
「あぁっ、ダメだ。やっぱり抑えられない。俺……波多野さんのことが好きだ」
「え……」
思いがけない告白に胸がざわざわと音を立てる。
「記憶は戻らなくても、今の波多野さんにもう一度恋をした」
ゆっくり顔を上げると、彼の強くそして艶やかな視線につかまって、拍動が勢いを増していく。
「和宏くんのことを第一に考えて、なんでも全力。頑張りすぎることにハラハラするときもあるけど、記憶がないことに落ち込んで下を向いてばかりだった俺とは違った。波多野さんはいつも未来を見てる。しかも、運命は自分で切り開くというような強さも感じる」
「それは……母親なら皆そうです」
しかもシングルで産むことを選んだのだから、強くなるのは必然だった。
「そうかもしれない。でも、波多野さんの子育ての姿勢から学ぶものもたくさんあって……」
「学ぶもの?」