エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「そういうことが大切なんだと思った。目先の利益だけ考えたら、嘘をついて契約をもぎ取るのもありだ。でも、レーブダッシュの将来を考えるなら、安易な契約を結ぶより信頼を得るほうが大切だと」
きっと、それが経営者の視点なのだろう。
私はいつしかうなずいていた。
こういう思慮深い彼のことをずっと尊敬していたのだと、一緒に働いていた頃の記憶が鮮明に浮かび上がる。
やはり、彼が大切にしているレーブダッシュの隅っこでいいから働きたい。
「波多野さんと一緒にいると、自分がどんどん高まっていくんだ。こんなに真剣に人生と向きあっている人の前で、適当なことはできないと気持ちが引き締まるというか……。でもそれが窮屈でもつらくもなくて、自然とそうなる」
再び私の話に戻り、目が泳ぐ。