エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「以前、もう一度始めてほしいと口にしたときは、波多野さんに拒否されても仕方ない状況だった。俺の心の中には、もし和宏くんが自分の子なら責任を取るべきだなんて間違った正義感があったから」


彼は私をまっすぐに見つめて続ける。


「でも一緒に暮らし始めて、和宏くんが誰の子であれ、俺には忍と和宏くんが必要なんだと思うようになった」


こんな話の流れで嘘をついているとは思えないし、彼の目は真剣だ。

それに、『波多野さん』から『忍』に呼び方が変わったのに気づき、頬が赤らんでいく。


「俺に守らせてくれないか? 記憶が戻らなくても、忍のことを好きだという気持ちをもう抑えられない。それに和宏くんがかわいくてたまらない」

「宏希さん……」


彼の中に、私たちに対する責任だけでなく〝愛〟があるのだと知り、胸がいっぱいになる。

今すぐ彼の胸に飛び込みたい。
そんな強い衝動を抑えるのに必死だった。
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