エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「こちらこそです」
妙に恥ずかしくなってうつむき加減で言うと、彼は私の頭を自分の肩に誘導して、胸くらいまである髪にそっと触れた。
「俺、さっきやったー!って大声で叫びそうだったよ。危なかった」
「ふふふ。そんな人、周りにいませんでしたね」
たしかに仕事中は冷静沈着な彼が、珍しくソワソワした様子で冷静さを欠いていたように見えた。
けれど、それが喜びからくるものだとわかっていたので、感激だった。
「うん。忍、いろいろごめん。でも、俺が全力でお前もこの子も守る。誓うから」
耳元でささやかれ、大きくうなずく。
私たちは彼の両親の反対にあい、実はまだ結婚できていない。
しかし同棲はしていて、事実婚状態なのだ。
この妊娠は、いつまで経っても結婚を認めてもらえない私たちの、計画的なものだった。