エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
わざとスプーンを和宏のプリンのほうに差し出す宏希さんは、知らない人が見れば完全に父親だ。
いつか、本当に父親として接してもらえる日がくればいいのに。
私はそんなことを考えながら、微笑ましい光景を眺めていた。
幼稚園では十月に運動会がある。
早々に宏希さんに見に来てとねだり、「もちろん」という返事をもらった和宏は、張り切ってダンスの練習中だ。
他にもかけっこや玉入れがあるらしいが、かけっこは練習でいつも一番だとか。
どうやら宏希さんも足が速かったらしく、血は争えないなんてこっそり思っている。
再びレーブダッシュで働き始めて三週間経った私は、生活のリズムが作れるようになってきた。
今日も朝から頼まれていたプレゼン資料を制作し、沖さんと、若い営業マンの坂田(さかた)さんと会議室で修正作業をしていた。