エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
彼は今、とあるフィギアスケートの試合の協賛についての話し合いをしており、レーブダッシュの魅力をわかってもらいたいのだとか。
初めてのひとり立ち案件ということで、沖さんも丁寧に指導している。
「波多野の仕事をよく見ておけ。坂田は自分の主張ばかり押し付けすぎだ、波多野はクライアントがレーブダッシュのなにを知りたいのかを考えて、必要なアピールをチョイスしているぞ」
思いがけず褒められて、照れくさい。
「なるほど。いらない情報がありすぎてもいけないんですね」
「そう。もっと冷静に周りを見渡す余裕を持て」
「でも、坂田さんのような情熱は絶対に必要だと思います。レーブダッシュのことが大好きだと伝わってきますから気持ちがいいです」
口を挟むと、沖さんはクスッと笑っている。
私がフォローを入れたことに気づいたのだろう。
「坂田。とにかくお前は熱すぎる。でも、浅海はそこを買ってここに引っ張ったんだから、いいところはなくすなよ」
「難しいですね……」