エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
相反することを言われて坂田さんはしかめっ面をしているが、そのうちよいバランスを身につけていくと思う。
沖さんが導いてくれるはずだ。
「あっ! 波多野、そろそろ帰る時間じゃ……」
白熱しすぎて十三時を回っている。
沖さんに指摘されて初めて気づいた。
「本当ですね。いつもお先にすみません」
修正作業は終わったものの、今日はこの作業にかかりっきりで他の仕事ができなかった。
「十分だよ。遅くなって悪かった。気をつけて帰れ」
「ありがとうございます」
私はふたりと一緒に部に戻り、バッグに荷物をしまい始めた。
すると、スマホの着信ランプが光っている。
履歴を確認すると、二十分ほど前に幼稚園から電話が入っていた。
片手で荷物をしまいながら留守番電話を再生すると、先生の切迫した声が飛び込んでくる。
『和宏くんが高熱を出しまして、けいれんを起こしました。救急車をお願いしましたので折り返し連絡をください』
「え……」