エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「宏希さんがあの公園に現れたとき、気持ちが揺れました。私が勝手に産むと決めたのに、宏希さんに責任を押し付けてはいけないと。でもその一方ですがれるものならすがってしまいたいという、弱い心もあって……」
「弱くなんてない。和宏はあんなに優しくて強い子に育っているじゃないか。ここまでひとりで育ててきた忍は、十分すぎるほど強い。俺ではできなかったかもしれない。でも、もうひとりじゃない。三人でゆっくり歩いていこう」
胸がいっぱいでなにも言えず彼の腕の中に飛び込むと、強く抱きしめられる。
彼が記憶をなくした日からずっと、この温もりをずっと求めていた。
「俺、まだすべてを思い出したわけじゃないんだ。でも、忍への気持ちは前より強くなっている気がするよ」
「そんな……」
最高にうれしい言葉をもらえて、今までの疲れが吹き飛んでいく。
「抜け落ちている記憶はできるだけ思い出したい。だから、些細なことでもいい、全部教えて」
「はい」
これからまた始めればいい。
互いの気持ちさえつながっていれば、他はちっぽけなことだ。