エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「宏希さんがあの公園に現れたとき、気持ちが揺れました。私が勝手に産むと決めたのに、宏希さんに責任を押し付けてはいけないと。でもその一方ですがれるものならすがってしまいたいという、弱い心もあって……」

「弱くなんてない。和宏はあんなに優しくて強い子に育っているじゃないか。ここまでひとりで育ててきた忍は、十分すぎるほど強い。俺ではできなかったかもしれない。でも、もうひとりじゃない。三人でゆっくり歩いていこう」


胸がいっぱいでなにも言えず彼の腕の中に飛び込むと、強く抱きしめられる。

彼が記憶をなくした日からずっと、この温もりをずっと求めていた。


「俺、まだすべてを思い出したわけじゃないんだ。でも、忍への気持ちは前より強くなっている気がするよ」

「そんな……」


最高にうれしい言葉をもらえて、今までの疲れが吹き飛んでいく。


「抜け落ちている記憶はできるだけ思い出したい。だから、些細なことでもいい、全部教えて」

「はい」


これからまた始めればいい。
互いの気持ちさえつながっていれば、他はちっぽけなことだ。
< 243 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop