エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「先日の陸上の中距離の選手の調査、完璧だったと沖が褒めてたよ」
彼は書類をデスクまで持っていき、印を押しながら言う。
「ありがとうございます。早速、営業の稲垣(いながき)さんが選手と折衝しています。シューズを任せていただけそうです」
もしかしたらもう耳に入っているかもしれないが、一応報告をする。
「それはよかった。彼は多分マラソンに転向するだろうからね。期待の星だ」
今回選んだのは、ここ最近の記録が一番よい選手ではなくその次の選手。
一番有力視されている選手は記録はいいが、所属する大学のチームメイトとの関係があまりよくない。
おまけにSNSでの発言が過激だとわかった。
いずれ有力な選手に成長した暁には、用具の提供だけでなく会社名を背負って活躍してもらうスポンサー契約を目論んでいるので、素行が不良では困る。
企業イメージも悪くなるからだ。