エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「もちろん。おそらく営業統括部で一番冷静に物事を見られるのは波多野だ。沖もそう言うと思うよ」


私がお見合い写真に気づいたことがわかったのだろうか。

宏希さんは、台紙の上にさりげなく別の書類をのせて隠した。


「承知しました。できることはします」


たしかに坂田さんは、ひと呼吸おいて!と言いたくなることが多々ある。
仕事がうまくいっているときは特に。

そういうときほど調子にのらず慎重にというのが、宏希さんの信念だ。

専務としての仕事が増えて、営業統括部は沖さんに任せがちで気になっていると漏らしていたので、できれば宏希さんの信念を新しく入った人たちにも伝えたい。


「それでは、失礼します」


用が済んだ私は、宏希さんに一礼してから部屋を出た。
すると続いて佐藤さんも退室してくる。


「波多野さん」
「はい」


呼び止められてため息が出そうになったものの、無視するわけにはいかない。

笑顔を作ってから振り返った。
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